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(2015年9月20日)

雑所得の必要経費

 個人の方の四皇 4大所得の一つと言われる雑所得。 (他は給与所得、不動産所得、事業所得) と、これら所得のうち、給与所得をのぞいては必要経費が認められておりますが、、 ちなみにその認められる経費の範囲ってどんな感じ?

基本はいずれも同ライン

 単純に事業所得と雑所得とを比べてみると、一見、事業所得の方が必要経費として認められる範囲が広そうに思えるのですが、しかし実務上では、どちらもその所得を得るために費やした価は同じようなレベルで認められております。

直接的なものはオールOK

 仕入れや運送費、その所得を得るに直接かかわるものであれば 事業だろうと雑だろうと全く変わりありません。

 もちろん減価償却資産も同様に。

但し!家事按分の必要なものはやや厳格

 ただ家事按分の必要なものに対してはやや厳しいかな。。

 所得税法施行令、第四節- 第一款(必要経費に算入されないもの)- 第九十六条(家事関連費)- にて、

 原文まんま
 必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。 一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費。 (所得税法施行令より抜粋)
 解釈
 特定の事業者を除き(事業所得を得る青色申告者)、家事按分で経費計上が認められるものは、、 その支出費用の主たる部分が雑所得を得るために必要(業務の遂行上必要)である事、かつその必要とされる部分(家事按分)を明確に区分出来る事。

 との旨が記載されており、(かなり噛み砕いて解釈しております)

 さらに補足的に、所得税基本通達 第四款(必要経費などの計算)- 第一目(家事関連費)- 法第45条(家事関連費などの必要経費不算入など)- 第一号関係(家事関連費)- では、

 原文まんま
 「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。 (国税庁法令解釈通知より抜粋)
 解釈
 主たる部分が、その雑所得を得るための業務の遂行上必要、、 であるかどうかの判断は、その部分がおおよそ支出費用の50%を超えるかどうか。 但し、その部分が50%以下であっても、家事按分を明確に区分出来てさえいればそれも認められる。

 といったフォローがなされており、

 まあこれら双方の解釈ではやや矛盾っぽい部分もあるように思えますが、

 つまりここで最も重要なのは 明確に区分 出来るか否か。

 例えば地代家賃。 事業者であれば一室、又は床面積の一部分を事務所として必要経費計上できるかもしれませんが、(事業であれば毎日長時間、常に一室一角を事務所として占有し使っているのが通常と考えられますので) しかし副業等となればもっと使用範囲が限られる自室兼用となる場合も多く、(その空間を不特定かつ断続的で使用しているなど) そうなるとよほどその部屋、もしくは一角を専用・占有で使っている場合を除いては明確に区分する事は難しく = 経費計上してしまう事は困難と言えるでしょう。 (個人事業者でも、家事兼用のトイレは必要経費として認められないのと同じ感じかな)

 また片手間という特徴柄から、光熱費などのような時間割として考えても非常に精査しにくく、(事業者であればおおむね毎日従事しているので、この辺りの区分もやりやすい) → やはり明確な区分は難関。 = まあいずれにしても、こういったものはよほどの事が無い限り経費計上するのは困難と考えられておいた方がいいでしょう。

 青色申告事業者の場合だと、日常の時間配分や利用頻度の割合を 自己申告データで按分出来ますが、しかしこれらは青色申告者だから認められているのであって、雑所得の場合だと自己申告データ程度だと明確な区分とは言い難く、もっと目に見える形での根拠がないと、もしくはそういったデータでもより確実性の高いものがないと なかなかそういった必要経費も認められない可能性は大きいと言えるでしょう。 (※ 但しあくまで可能性ですので、もし税務署を納得させられるだけの根拠があればまた話は別なんですが。。)
 
 なお、法令解釈通知(所得税基本通達)のみを解釈すると、家事按分50%以上の費用が必要経費に出来、しかし50%以下でも経費区分が明確であればそれも大丈夫。。 と解釈出来、またそう解釈されている方も多いようですが、(※ 50%以上じゃないと経費として認められない(原則系)。 しかし詳細明確に区分出来る場合に限っては、50%以下でもそれは認められる(特例系)、、 みたいな。 50%以上だと甘くて以下だと厳しいとか、50%を境に経費算入基準のレベルが異なる見解

 しかし前提となる所得税法施行令を考えると、、

 一応法令上では、50%以上の経費で、かつその家事按分を明確に区分出来る場合に限られる〜 と限定されるが、しかしこれはあくまで目安であって、きちんと区分出来ているものであればその基準に満たなくても必要経費として認められる、、 と、フォローを入れているにしか過ぎず、(※ 原則は50%以上かつ明確に区分されている事。 しかしそれはあくまで目安であって、それは必ずしもではない、、 みたいな。 50%以上であろうと以下であろうとレベルは同じ見解。 結局は明確に区分されていさえすればおおむね認められると

 またこの後者が適正であろうと考えられます。

それと給与は対象外

 それから雑所得には支払い給与に関する制度は御座いませんので、(家族に手伝ってもらった場合の御駄賃など) そういった類いのものも外注費を除き認められないとお考え下さい。

 と、おおよそはこんな感じかな。

 以上、お役に立てる部分御座いましたら幸いに存じます。

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