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(2015年8月25日更新)

サラリーマン個人事業主の危険性

 その副業を事業所得とするべく〜 サラリーマンでありながら開業届出を出し、晴れてサラリーマン兼個人事業主! と、そうお考えの方(又は既にそうされている方)、税務上かなり危険地帯へ足を踏み込みそうになっている(踏み込まれている)方も多いようですので、今回ちょっと記事にしてみました。

<<本頁INDEX>>

  • 1. 個人事業主になるのは勝手
  • 2. 開業届出はただの紙。実際なんの効力もありません。
  • 3. 個人事業として認められなかったら、、
  • 4. 認めてもらえるには?

個人事業主になるのは勝手

 ふと最近ネットサーフィンしていると、ネット副業などで個人事業成りして(サラリーマン兼個人事業主)、副業を事業所得とし〜 65万円の青色申告特別控除を活用したり、経費の範囲を増やしたり、果ては経費をガンガン使って赤字が出ても損益通算でサラリーマンの税金も減らせちゃう! みたいなアドバイスをされているサイトさんを見かけたのですが、またそういったアドバイスをなさっているという事は、少なくともそういった見解を持たれている方も多くいらっしゃるのかと思われ、(しかもツイートやSNS等のフォローもそこそこ付いておりましたし)

 確かに、個人事業主になるとそういった特典を網羅する事が可能となりますし、成る事自体も自由です。

 実際 開業届出をすれば自称個人事業主になれるわけですから。。(青色申告にはまた別途書類が必要。 ちなみに届出を出していなくとも、個人事業は自称可能です)

 但し、個人事業主に成る事と、税務署側が認めてくれる事とは全く異なる事には十分ご留意願います。 (厳密に言えば、その副収入を事業所得として認めてくれるか否か

開業届出はタダの届出。実際なんの効力もありません

 先ずこの辺りが勘違いの元かな。

 開業届出は、事業所得などを得る方が ”事業を始めました” と、所轄税務署へ通知する届出書類。 しかしこの書類はあくまで ”届出” にしか過ぎませんので、それを出したからと言って必ずしも事業所得が認められているとは限りません。 つまり届出は単なる形のみ。 また出すのはタダ、誰でも気軽に出せますし、その届出に対してよほどの事が無い限り税務署側も突っ込んできませんので、勝手に何かが受理されたと思い込まれる事も多いかと。 (届出を出した段階で、個人事業主になれるか否かの審査は行われません。 また後日審査結果が来るわけでもありません。 基本出したら出しっ放しで〜 後はどうなろうと自己責任というわけ。 なぜなら、日本の税法は自主申告主義が基本で、税務署はそのパトロール機関ですから

 もう一度言っておきましょう。 届出は単なる形です。 それで自称個人事業主にはなれますが、事業所得確定ではありませんので要注意。

 ブログなどで、開業届出を出しに行ったら〜 職員に受け取り拒否された! なんて記事も目にしますが、これはある意味親切なケースとも言えるでしょう。 通常、こういった届出は個人の自由。 職員がその内容だけを見て拒否する権利は一切ありませんから、もしそこですんなり受付されてしまい、後々数年後 事業所得の全拒否となってしまったら。。
 開業届出を出すと、確定申告時期になると ”確定申告書や案内” が届きますが、これも何かしらが認められたという証拠にもなりません。 税務署側は、出された届出に対ししかるべき対応をしたのみにしか過ぎませんから。

もし認められなかったら?

 開業届出を提出し、晴れて個人事業者だ〜 と、そう思って副業活動をしていたのに、ある日突然税務署からお伺いが。。

 帳簿等はもちろんのこと、これまでの売上や経費にまつわる様々な保管書類をチェックされ、さらに事業内容のヒアリング。 そしてこれまで数年にさかのぼって事業所得が否認され、全て雑所得扱いになるとの事。(業種によって他の区分扱いになる場合も御座いますが)

 つまりここに来て初めて ”認められない” 事に

 その判別は、おおよそ事前から目星がついており、しかし実際の業務内容やこれまでの運営経緯、それから現状など、、 職員が実際に把握&確認しないと判断される事はないでしょう。 つまり、税務署側に疑問を持たれ、でも実地にて状況確認後最終判別されるみたいな。

 ちなみに、ここに来て認められないと判断された後は、、

 これまで受けて来た特別控除や損益通算の数々、それから家族へ支払っていた給料の全てが ”なかった事” になりますので、これまで安く済んでいた税金分が一気に押し寄せて来る事に。。 しかも! 払うべき時点であった納期限から随分と月日が経っておりますので、その時点からの延滞税が発生したり〜 (赤字の相殺が多いなど悪質性のあるものは、そこからまた罰則税も) また所得税が上がるという事は? それに連動して住民税やらもまとめて一気に追徴となり、その膨れ上がりは想像を絶する三途の川の流れの如しとも。

 まさに餌食。

 また、税務署はある程度の見込みがなければ動きません。 つまり、取れるモノをしっかりと確保できると確信し踏み込んできますので、(税務署が動くからには〜 何が何でもたっぷり搾取しないといけないので 【→ 例】) 踏み込まれる時には3年、あるいは5年、、 さかのぼって十分税金をもぎ取れる法定年数しっかりと確保してお伺いを立てて来るでしょう。

 なお、税務署からのお伺いは100%あるわけではありません。 まず動く根拠が十分でないと動く事はないでしょう。

 まさにマナ板の上の鯉状態。

 恐るべし! 自主申告主義。 自由に泳がせてもらえるが〜 釣られてしまったなら珍念 観念しろと。

じゃあ、その個人事業を認めてもらえるには?

 サラリーマン副業を事業として認めてもらうには、先ずかなりのハードルは念頭におかれておいてください。

 近似する裁判結果などを探ってみますと(税務署と個人とが争った判例)、

 @生活費を既存の給与所得に依存していないか?

 事業とは、そもそもそれ独立で経営が成り立つもの。 また相応のリスクを背負っているはずですから、他に依存する収入があるとすれば〜 まず事業所得(個人事業)としては認められ難いみたいですね。 つまり、個人事業を考えるのは 先ずその副業だけで十分生活出来るレベルになってから。。 とも。

 A節税を目的としていないか?

 ここは最も厳格に見られる部分のようです。 事業には赤字も十分あり得ますが、こと副業の事業化による赤字相殺は租税回避能力が高いですから(給料に掛かる税金まで減っちゃうわけですから)、先ず赤字続きだと節税目当てだとされ認められないでしょう。 また赤字でなくとも、税金が増えない収入程度も危険です。 収入を得ているのに〜 上手く税金が増えないように調整。 → 明らかな租税回避。 65万円の青色控除の威力が高い状況下でも認められ難いでしょう。

 B趣味やお小遣い稼ぎの延長でないか?

 趣味を兼ねた事業というものも多いですが、こと副業では それらはなかなか認められないようです。 本業があるとどうしても週末だけの活動、、 一日数時間の作業、、 これで営業していると言えるでしょうか、さらにそこへ趣味的な要素が加わると〜 もはや雑所得以外の何物でもないでしょう。

 と、ほんの一部主要的なものだけ出してみるとこんな感じかな。

 なお、これ以上のもっと細かい点などにつきましては ”→ 事業所得として認めてもらうための必要要件” こちら別途にて。

 ちなみに、これらに挙げる例はあくまで他人の判例であり、自身に変わると必ずしもとは限りません。 また業務内容によっては、こういった要件によらず認めてもらえたり、どの要件を十分満たしていてもまだまだ事足りない事も多いでしょう。 なので絶対的に間違いのない方法も加えておくならば〜

 税務署職員にOKを貰う

 これに尽きるでしょう。

 どんな状況や環境でも、税務署を十分納得させる事が出来ればそれは認められます。 それが日本の法律です。 (という事は、要件が不足していても それをカバーできるフォローが出来れば認められる事もあるという事にも。 また逆もしかり)

 というわけで、もし確実を取るなら 十分なデータや資料を持参の上 所轄の税務署相談室などへ。

 以上、皆様のいいアドバイスになれば幸いです。 事が起こってからでは何もかもが遅すぎますから。。

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