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(2018年11月20日更新)

課税売上割合とは

 消費税の課税事業者になると、時折耳に入って来ることも多くなるであろう 「課税売上割合」という言葉。 またその言葉に付随して分母だの分子だの何だかワケ分からん用語まで付いてきて(← ゆーか、そもそも分母とかは用語じゃないんですが ^^;) 何だかサッパリ、、 という方も多いのでは? というわけで今回はこの割合について少々触れておこうかと。。

課税売上割合について

 簡単に言えば、事業売上げの中から消費税の乗る売上げ(= 課税売上)の割合の事。

 【 ワンポイント 
 課税売上割合という用語は 基本 「本則課税」の場合のみからんで来ますので、簡易課税を選択されている方は全く考える必要も知っておく必要もないでしょう(ただまあ知っておいて損はないですが。。 ^^;)。

 (→ @ ÷ A ×100 = 課税売上割合) これでその割合が出ます。

 @ 消費税の乗る売上げ
 = 当期の課税売上のみ。 非課税売上げ、及び不課税売上げは一切含めません。 但し、税法上課税売上げに属する免税売上げは含みます(算入します)。 (補足: 課税、非課税、不課税、免税アレコレ

 A 事業売上げ
 = 当期の全ての売り上げ。 課税売上はもちろんの事、非課税、免税売上げも含めます(算入します)。 但し、唯一不課税取引きに関しては含めませんので一応ご留意を。 (補足: 課税、非課税、不課税、免税アレコレ

 なお、これらどちらにも雑収入を含みますが、ただあくまで ”事業と関連あるもの” となりますので、決算書 - 損益計算書の売上金額を起点としたものとお考え下さい。 それといずれも算式中の数値(売上)は税抜きが基準となります事にも十分ご注意願います(非課税には消費税は含まれません。 ゆえ課税売上を税込としてしまうと〜 正確な割合が出ませんから。 というよりそもそも課税売上 = 税抜き というのが基本でもありますし)。

 ちなみに、これら図表等からなんとなく気が付かれるかと思われますが、Aが分母で@が分子、、 いわゆるこの部分が、課税売上割合に関連しての俗によく言われる ”分母” ”分子” と。 (例: 分母に算入する = Aの分母に含む(加える))

 
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6405.htm (国税庁HPより、課税売上割合の全体像(補足付記なども))

そもそも何のための割合?

 ところで当該割合についてなんとなくご理解頂けたかと思いますが、しかしそもそもこの割合って何のため?

 ずばり! 決算、及び確定申告時において、当期中仮払消費税(仕入れや経費等で支出している消費税)を、当期中仮受消費税(預り消費税)からいくら差し引けるか(いくら控除できるか)〜 の割合に影響する値。 つまりこの割合が100であれば100%の控除が可能だが、(→ 預り消費税が100で支出消費税が40なら、差引60の消費税が未払い消費税となり = 納税額になる) しかしこの割合が100未満の場合には その割合に応じた控除しか出来ず、、 と、こんなための割合。

 【 何故? 
 非課税売上げに関わった仕入れ消費税や経費消費税は、原則控除する事が出来ないから(仮受消費税(預り消費税)から差し引く事が出来ない)。

 但し、その割合(課税売上割合) = 控除出来る割合 とは限らない事には予めご留意を。

 課税売上割合 = 全売上の中からの課税売上げの割合 = 控除出来る仕入れ・経費消費税を決めるための影響値

ちなみに、その割合に応じた控除は具体的には?

 因みに最後に、 ”その割合に応じた控除” についてまで触れておきますと。。

 @割合(課税売上割合)が95%以上

 この場合は100%の控除が可能です。 つまり仮受消費税(預り消費税)から、当期における仮払消費税(仕入れや経費等で支出している消費税)の全額を差引き(控除し)、残った消費税が未払消費税 = 納付すべき消費税。 と。 ちなみにこの95%という割合は、俗に ”95%ルール” とも呼ばれております。 (※ 但し、まあ個人事業者ではかなり稀かと思われますが、課税売上げが5億円を超える方の場合にはこの95%ルールは存在しません。 一応補足程度までに(H24/4改正))

 
 95%という数値。 小数点以下端数の扱いは? → 端数はそのままで見解されて下さい。 94.91578% = 95%未満。 なお切り捨ては問題ないですが、四捨五入などの処理は決してなさらないように。。 

 A割合が95%未満

 割合が95%未満とまでなると(非課税売上げがそれだけ多い)、さすがに控除額の調整が入ります。 つまり非課税売上げに対応する仕入れなど消費税を除外していき、課税売上げに対応する仕入れなど消費税のみを控除の対象とし、、 まあそれだけ消費税の納税額が増えて来ると。

 但し、その調整方法にも2通り御座いまして、、 (これは任意選択可)

 1. 個別対応方式
 ⇒ これは課税売上げに対応する仕入れなど消費税(仕入れや経費に付随して支払った消費税)と、非課税売上げに対応する仕入れなど消費税と、さらにどちらにも対応する共通する仕入れなど消費税の3つに区分けし(個別にする)、そのうち どちらにも対応する共通する仕入れなど消費税にのみ ”課税売上割合” を掛け(乗算) → 算出された額 + 課税売上げに対応する仕入れなど消費税 = これらを預り消費税から差し引く(控除)方式(もちろん非課税分は含めません(除外))。

 ※ メリット・デメリット: 経営の実態に沿った正確な納税額になる。 但し、支払った消費税を各個別に区分する作業が必要なので、場合によってはかなり大変大がかりな手間と時間がかかってしまう事も。

 ※ なお、当個別対応方式のみにおきましては、当方式による納税額算出が不合理だと思われる場合には(事業実態に沿っていない)、別途申請(要承認)する事などによって 課税売上割合に代えて ”課税売上割合に準ずる割合” という特例的な割合による計算も認められておりますので、一応これら補足程度までに。 【→ 課税売上割合に準ずる割合について(国税庁HP)
 2. 一括比例配分方式
 ⇒ これは上記個別対応方式のように支払った消費税を区分することなく、課税・非課税・共通する部分など全てひっくるめて(要は、当期中に支払った仕入れや経費などにまつわる全消費税) その全消費税に ”課税売上割合” を掛けて(乗算) → その額を預かり消費税から差し引く方式。

 ※ メリット・デメリット: とにかく手間いらずの超簡単。 また割合や各区分の消費税(支払った消費税)の額によっては、個別対応方式よりも有利になることもある(最終的な納税額が安くなる)。 但し、この方式を採用された場合には、2年間以上継続して採用しなければならない事と(一方個別対応方式では、このような継続義務はなし)、それと割合や各区分の消費税の額によっては、個別対応方式よりも不利になる事もあり、、 これら辺り十分ご留意等のほども願います。 (なお、納税額の有利不利は、各事業者の割合や各支払い消費税の額によって随分と異なって来ますので、これらにつきましては 別途個別にシミュレートされるなどしてのご判断を願います)

 と、こんな感じかな。

 
 ところでこの95%ルールA後者におきましては、税抜経理をなさっている場合に限り 仮払消費税と実際に控除された消費税の額が異なってくる場合もあるでしょう(決算時の未払消費税と合わない等)。 と、そんな時には--- https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6921.htm (国税庁HP) まあこんな感じで参考までに。

 以上各ご参考などまでに。

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