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クルマを売却や廃車した場合

自動車を購入する事があれば、逆に売却する事だって。

不本意ながら、事故や故障によって致し方なく廃車にするなんてことも。。

※ なお、私管理人は 過去とあるカーディーラーで10年以上営業として勤務していた経歴がありますので、自動車にまつわる知識はそこそこ自信御座います。皆様のお役に立てますと幸いです。

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償却資産の除却

通常、自動車は償却資産ですから、売却・除却(廃車)する場合は該当車両の減価償却状況や帳簿価額によって仕訳方法が色々と異なってくるでしょう。

減価償却が終わっている物いない物、場合によってはローン返済中の案件もあるかもしれません。

償却の終わっていないクルマ(事業用車両)の売却等

減価償却が終わっていない資産は、取得時の償却方法や帳簿価額によって仕訳が異なります。

 参考: 帳簿価額より高値 or 安値で売却・・・など、資産の転売・除却について詳しくは 「償却資産の売却・除却」編 をご参考下さい。

通常の減価償却資産(定額法・定率法で償却中の資産)を、帳簿価額よりも高値で売却した場合。

借方 貸方 摘要
現金 500,000 車両運搬具 290,000 ---
  事業主借 200,000 ---
  預託金 10,000 ---

 
 個人事業者が減価償却資産を売却した場合、売却によって出た損益は事業所得ではなく、事業主の「譲渡所得」になるので要注意!

 ※ 詳しく: 「償却資産の売却・除却

 ※ 関連参考: 「譲渡所得について

売却した車は、売却時の「帳簿価額」で仕訳を行います。

「車両運搬具の額」 = 「帳簿価額」

当年度期首の帳簿価額にするか、当年度分を月割り償却した後の帳簿価額かは どちらで仕訳をしても問題はないようです。

リサイクル預託金は、転売時にリサイクル券相当額と引き換え譲渡になりますので、必要経費には算入せず、預託金も売却する形になります。

売買によって出た収益は事業主個人の「譲渡所得」になりますので、利益が上がった部分は「事業主借」で仕訳を行います。

通常の減価償却資産(定額法・定率法で償却中の資産)を、帳簿価額よりも安値で売却した場合。

借方 貸方 摘要
現金 200,000 車両運搬具 290,000 ---
事業主貸 100,000 預託金 10,000 ---

売買によって出た損失も事業主個人の「譲渡所得」になりますので、損失が出た部分は「事業主貸」で充当仕訳を行います。

通常の減価償却資産(定額法・定率法で償却中の資産) 事故廃車で手放した場合。

借方 貸方 摘要
雑損失 290,000 車両運搬具 290,000 ---
支払手数料 10,000 預託金 10,000 ---

※ 事業使用が100%の車両の場合。

※ 永久抹消された廃車の場合(解体廃車)。

なお、廃車の場合はちょっと扱いが違いますので、十分に注意して下さいね〜 ^^)ノ

償却資産(事業用固定資産)を災害等によって滅失したり、取り壊した場合等は、「事業用固定資産の損失」として、その損失額をその損失が生じた年度の必要経費(一括経費)とする事が認められています。

・・・という事なので、

事故等によって廃車になった車は「事業用固定資産の損失」として扱い、損失額を「雑損失」や「固定資産除却損」といった勘定科目を用いて仕訳します。

 事業用固定資産の損失について詳しくは・・・ 償却資産の売却・除却」編 をご参照下さい m(_ _)m

もし廃車の状態の車をいくらかで買取ってくれる業者がいれば、買取額は「雑収入」で仕訳をしておけば問題ないかと思います ^^ (あくまで目的は売却(譲渡)ではなく廃車(除却)に該当しますので。。)

廃車手続き費用が別途必要な場合には、支払手数料として経費計上が可能です。(上記仕訳例に手数料が入っておりますが、その手数料はまた別のものです。これに関してはまた後程で)

但し、

「事業用固定資産の損失」の扱いはあくまで「事業用」が対象となりますので、車両の家事按分がある場合の按分率によっては、上記の仕訳処理とは異なる場合もあるかもしれません。(要!税務署にて確認)

ちなみに私の考えでは・・

廃車による損失は、家事按分によって「事業用」とされる損失分を「事業用固定資産の損失」として扱い、「個人用」とされる損失分は「生活用動産の損失」として扱うのが適切な実務だと思われます。(私見)

個人の損失分は譲渡所得には含めず、損失は無かったもの(損失 = 0)として扱う。

※ 参考・・・ 「個人資産と事業用資産の譲渡所得の取扱いの違い

リサイクル預託金は、永久抹消(解体廃車)の場合のみ「支払手数料」で費用計上。(上記仕訳の手数料がそれに該当)

預託金は、車両の解体を行う時に必要な費用です。

通常、クルマを中古車として転々する場合には、その車両譲渡時に相当額とリサイクル券の譲渡も行われ、常に最新の所有者が預託している状態となっておりますが、しかし何等かの理由で車両が解体廃車された場合には、その最終所有者が ”リサイクル費用” として負担することになっており、(預託されていた費用が解体費用として消費される)

ゆえ解体と同時に、預託金を手数料として費用化(経費)することになります。

なおリサイクル預託金が回収された時の領収書はありませんが、(出ません)

解体業者、及び引取業者が発行する「使用済自動車引取証明書(リサイクル券のB券)」が受領の証明になりますので、

それらの受け渡しは必ず忘れずに。(きちんとした登録回収業者であれば必ず発行してくれます。必ず貰いましょう)

預託金は、車両の解体を行う時に必要な費用です。

通常、クルマを中古車として転々する場合には、その車両譲渡時に相当額とリサイクル券の譲渡も行われ、常に最新の所有者が預託している状態となっておりますが、しかし何等かの理由で車両が解体廃車された場合には、その最終所有者が ”リサイクル費用” として負担することになっており、(預託されていた費用が解体費用として消費される)

ゆえ解体と同時に、預託金を手数料として費用化(経費)することになります。

※ 関連参考: 一時抹消と永久抹消。(外部サイト)

 
 もし事故による保険金が入金される場合には、「事業主借」勘定で仕訳をして事業所得に入れないように気を付けましょう。

 ※ 詳細: 「自動車の修理、事故

リサイクル預託金の取扱いについて

解体廃車された際の預託金の取扱い、また売却時の取扱いは上記の通りですが、

折角なので、預託金にまつわる小話もついでに。。

上記例では事故廃車 ⇒ 永久抹消 という見解で仕訳などを行ってみましたが、

極稀に、(というかそこそこあるかも) 事故車であっても、永久抹消されない無料引取りというケースも御座います。(引取られた後に、修理され市場に出回る算段)

ちなみにこういったケースでは、その引取られた車両は ”中古車の売買” 扱いとなり、リサイクル預託金の相当額は 引取業者から貰えることとなっておりますので、(法律)

小話程度の参考までに。

預託金が消費されるのはあくまで ”解体廃車” される場合のみ。 それ以外ではリサイクル券の譲渡と共に 相手から相当額を貰えることとなっております。またそれが法律です。

なお、こちらが解体廃車を望んでいる場合には、引取業者は必ず解体廃車にしなければいけません。裏工作で表向きには解体すると言って、裏では中古車として引取り、解体せず修理して転売することは出来ません。またこれも法律です。(いずれも自動車リサイクル法)(もし裏で中古車扱いした場合、業者には預託金相当額の支払い義務も発生します)

※ 関連参考: 事故車買取、リサイクル預託金の取扱いは?(外部サイト)

リサイクル預託金の相当額をもらった場合。

借方 貸方 摘要
現金 10,000 預託金 10,000 ---

リサイクル預託金の相当額と、廃車手続き費用を相殺した無料引取り例。(解体・永久抹消されない場合)

借方 貸方 摘要
現金 10,000 預託金 10,000 ---
支払手数料 10,000 現金 10,000 ---

※ 預託金は経費に算入できませんので、廃車手続き費用と分けて仕訳します。

※ 計算上では相殺ですが、帳簿上では廃車手続き費用を支払った形になりますので、領収書など手続き費用の支払証明が必要になります。

それと輸出抹消の場合には、解体廃車でなくとも 資金管理法人からリサイクル預託金が返金される事となっております。(法律)(申請をすれば、国内での最終所有者へ返金されます)

ただこれについては少々話がややこしくなりますので、

詳しくは、車を引き取ってもらった業者にリサイクル預託金の取扱いについて詳しい説明を求められてみましょう。

預託金が消費されるのはあくまで ”解体廃車” される場合のみ。 それ以外ではリサイクル券の譲渡と共に 相手から相当額を貰えることとなっております。またそれが法律です。

なお、こちらが解体廃車を望んでいる場合には、引取業者は必ず解体廃車にしなければいけません。裏工作で表向きには解体すると言って、裏では中古車として引取り、解体せず修理して転売することは出来ません。またこれも法律です。(いずれも自動車リサイクル法)(もし裏で中古車扱いした場合、業者には預託金相当額の支払い義務も発生します)

※ 関連参考: 解体?転売?廃車業者の注意点(外部サイト)

輸出抹消の為、リサイクル預託金が返金された。(返金時)

借方 貸方 摘要
普通預金 9,050 預託金 10,000 ---
支払手数料 950   ---

※ 預託金の返金には手数料が発生します。

減価償却が終わっている事業用車両を売却

減価償却が終わっている資産は 残存価額の「1円」が「帳簿価額」となるだけで、基本的な仕訳方法は上記例の仕訳と同じ方法になります ^-^)/

一括償却資産(3年均等償却)に計上している車の売却

あまり多くはないと思いますが、3年間の均等償却「一括償却資産」の売却ケースです。

「一括償却資産」の売却・徐却は、3年間の絶対償却という特徴柄、「帳簿価額」による損益勘定が全くなく、

売却益と費用計上のみ」の仕訳になります。

一括償却資産を売却した場合

借方 貸方 摘要
現金 100,000 雑収入 90,000 ---
  預託金 10,000 ---

売却で得た収益は全て「雑収入」の事業所得扱いにします。

3年間の償却中の車両を売却した場合も、3年間の減価償却が終了している車両を売却した場合も、全く同じパターンで仕訳を行います \(^v^)/

リサイクル預託金は、売却時にリサイクル券相当額と引き換え譲渡になりますので、必要経費には算入せず、預託金は売却する形になります。

一括償却資産を廃車にした場合

借方 貸方 摘要
支払手数料 10,000 預託金 10,000 ---

※ 事業使用100%の車両。 永久抹消(解体廃車)の場合。

車両の廃車による収益がありませんので、収益の仕訳はありません。(リサイクル預託金の仕訳のみ)

リサイクル預託金の取扱いは、通常の減価償却資産の廃車時と同じです \(^。^)/

なお下取りの場合は次ページの応用編で〜 ^^

ローンが残っている

ローンが残っている場合には、売却や廃車の方法によって仕訳が異なります。

またローンの仕訳と減価償却資産の仕訳は全く別々にして考えます。

 銀行借入の「借入金」の場合。(銀行などからの借入ローン)

残りを完済(いわゆる一括清算・一括返済)しなくても売却や廃車が可能ですので、

ローンを清算しない場合には、借入金の支払い等はそのままで車両売買等の仕訳のみでOKです ^^

※ 借入金の支払いや仕訳はそのまま継続し、車両売却のみの仕訳となります。

※ もちろんローンの一括清算は任意です。(一括する場合には、その仕訳要)

※ ただ契約も色々とあると思われますので、その売却等前には〜 その借入先の銀行にてご相談下さいね ^^ (もしそれが担保契約や担保条件アリの場合には要相談。 その場合には基本、ローン残ったままでは資産の売却等は出来ませんから。。 (車だけでなく、他の不動産なんかもそうですね〜))

 クレジットカードの「未払金」の場合 (個人的なツケなども含む)

この場合は基本、ローン残ったままの売却等は問題とならないでしょう。

またこの場合もカード決済分の支払いや仕訳はそのまま継続で〜 車両の売却等に対してのみの仕訳となるでしょう。

※ もちろんローンの一括清算は任意です。(一括する場合には、その仕訳要)

※ まあほとんど無いパターンかと思われますが、ただクルマ以外の減価償却資産の売却には参考になろうかと。。

 信販会社の「未払金」の場合。(自動車販売店取扱いのクレジット(自動車ローン))

残債がある状態では基本的に車両の売却・廃車が不可能ですので、クレジット(ローン)の残債分を一括清算する必要があります。

※ 車両の売却時などの仕訳だけでなく、一括清算の仕訳も加わります。

※ 尚、この一括清算が必要なのは、そのクルマが「所有権留保」されている場合に限ってのことですので、一括清算が必要かどうかは・・・ 売却先のお店にてご相談下さいませ <(_ _)>

 【参考: 所有権留保って何?(外部サイト)】

 また、自動車以外の減価償却資産の売却等の場合には、ほとんどの場合そういった所有権留保なんてないはずですから(不動産などは除く)、そういった場合には一括清算なく売却等も可能と考えられます。(但しもちろん、クレジットの返済と仕訳は継続しなければなりませんよ ^^)

※ 参考: 「ローン・クレジットが残っている車の、売却や廃車の方法」(外部サイト)

※ 予備知識: 「ローンとクレジット、借入金と未払金

ローン・クレジットを一括清算する場合

借方 貸方 摘要
借入金 or 未払金 現金、事業主借など・・・ ---
利子割引料   ---

※ クレジットの早期完済時には元金に若干の金利手数料が追加されるので、「支払手数料」、もしくは「利子割引料」として経費計上して下さい。

ローン・クレジットを組み直す場合・凡例(組み替え)

借方 貸方 摘要
普通預金 借入金 ---

※ 振込融資を想定。

※ 借入金が通帳に振り込まれた日の仕訳例です。

借方 貸方 摘要
未払金 普通預金 ---
利子割引料   ---

※ 信販系クレジットの未払金を一括清算した日の仕訳。

なお、仕訳表左下の「利子割引料」は、クレジットを一括決済した時に元金に追加される金利手数料分です。(未払金に金利手数料を含めていない場合)

もし未払金に金利手数料を含める記帳をしていれば、早期完済で発生する戻し手数料は貸方の「雑収入」扱いにすればよいでしょう。

とまあこんな感じで、ローンの一括清算によく利用されている融資系・組み替えローンを例に仕訳してみました。

ちなみに、車の買い替えでのローン組み替えは次ページの応用編にて。

以上参考までに。

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事業経費として意外と多く占めることも。
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