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LAST UPDATE: 2015/8

事業所得として認めてもらうための要件・条件

事業所得は、青色申告特別控除が受けられたり〜 (税金が安くなる) 一部の他の所得との損益通算が出来たり〜 (他の一定の所得にマイナスがある場合、事業所得から差し引き出来る。 また事業所得が赤字の場合、他の所得から差し引き出来る = 税金が安くなる) また副業の場合には本業との合算でマイナスを相殺出来たり〜 (もちろん税金が安くなる) 税制上とても有利な点が多いですが、ただそれゆえ 税務署側にとってみれば厳しく区分されており、、

というわけで、税務署にそんな事業所得として認めてもらえるための要件とは?

 なお、こういった要件に関する線引きは、国税庁側でも一切そのガイドラインを明記しておりません(法で見解があるのは ”対価を得て継続的” であるとの点のみ)。 まあ要するにケースバイケース、それから職員の裁量・見解・判断次第という事なんでしょう。 ただそう言ってはなかなか線引きし難いものですから、過去の判例などをもとに 私が個人的にある程度線引きしてみました。

 またこれら要件はあくまで個人ベースです。 法人についてまでは触れておりませんので 何卒予め。

専業ならほぼ確実

先ず専業としてその事業を行っている場合。 (給与所得はもちろんの事、不動産所得など他に一切の所得もない) この場合は、よほどの事が無い限り(最低限、、 社会通念的、かつ対価を得て継続的に行う事業に該当していさえすれば) その商いを事業所得として認めてくれるでしょう。 だってその収入で生計を立てるわけですから。。

 社会通念的/ 社会一般的からして見て、事業と呼べる形態のものなのか。
 対価を得て継続的に行う事業/ 商品を販売したり、役務の提供を行ったり、またそれらに相当する行為によって 繰り返しきちんとした事業収入があるかどうか(望めるかどうか)。

ちなみに不動産収入に限っては(賃貸収入)、一定以上の事業的展開でない限り 事業規模でもおおよそ不動産所得のままとなるでしょう。 (国税庁の方で事業規模の判断見解が示されておりますが、ただこれは、あくまで事業的規模かどうかの判断であって、事業所得になるかどうかの判断基準ではありませんので予め。 事業所得かどうかの判断はこちら所得税基本通達26条関係にて触れらております) ただ不動産所得に限っては、事業的規模かどうかで事業所得とほぼ同等の扱いを受ける事も出来ますので、またもともと保有している特典も御座いますので(条件付きの青色申告や損益通算が出来たり等)、これら一応念のため補足としてまでに。

副業となるとやや難関

それから、副業を事業所得としたい方もいらっしゃるでしょう。 但し、この場合はかなり難関で、、

 なお、ここで言う副業は〜 何もサラリーマン等の副収入だけでなく、個人事業者の片手間のサイドビジネス等も含まれます。 また以下に挙げる例はあくまで主な一例ですから、どれか当てはまってなくともバランス次第で認められたり、これらに挙がる以外の要素が必要だったりする場合も考えられますので、これら予めの上ご参考願います。 (最終的には税務署側の裁量と見解次第ですから

 ちなみに不動産収入につきましては(賃貸収入)、上記専業パターンは加味された上でご参考願います。

 ポイント@ 収入規模

先ず第一に、それなりの収入は必要でしょう。 その副業を事業として置き換えてみられ、十分 ”事業” と言えるでしょうか。 もし誰が見ても片手間のお小遣い稼ぎや臨時収入狙いにしか考えられない場合には、ほぼ高確率で認めてくれることはないでしょう。

 ポイントA 継続性と反復性

もちろん継続性も絶対必須でしょう。 運営の継続性、取引きの継続性、利益の継続性、、 要素も色々。 また取引き等を繰り返し行っているかなどの反復性や収益の将来性なども重要となってくるでしょう。 なお、FX等といった投機性や偶発性の高いものは継続性や将来性が低いですから、そういったものも先ず含まれる事はないでしょう。 (FXなどは、こういった理由などによりほぼ認められていないのが現実とも) もちろん一発狙いなんて論外。。

 ポイントB 主所得との釣り合い

主業とする所得との釣り合いも場合によっては考慮の必要あるでしょう。 サラリーマンなら給与所得、個人事業者であれば事業所得、、 それらが十分高額収入である場合には副業の必要性に疑問が出る事も考えられ、それらバランスを考え ”補” の域から脱していない場合にも認められ難いでしょう。 また高額収入でなくとも、生活維持を主所得に依存していると考えられる場合も同様かと。

 ポイントC 趣味的ではないか

副業される方のほとんどで ”趣味の延長” という傾向も多いようですが、こういった場合もハードルは高いでしょう。 好きを仕事にしたい! という意見も多いですが、好きでもそれを事業として成り立たそうと思えば半端なく大変です。 また社会的から見て事業と言えるものかどうかというポイントも重要です。 他人からどう見ても趣味の延長や片手間程度にしか見えない場合には、税務署からもきっとそう見られる事でしょう。 (ここら辺りも、FX等が認められ難い理由となっているようです)

 ポイントD 稼ぐ気があるか

これは趣味的にも繋がる部分があるかもしれませんが、そもそも稼ぎっ気のない商売は事業とは言い難い場合もあります。 稼ぐ気でやっているのか? それとも趣味から脱していないのか? それら辺りもひとつの選別要素になるでしょう。

 ポイントE 節税が狙いではないか?

雑所得のままだと、給与所得や事業所得等と損益通算が出来ません(雑所得の損失を他の所得から差し引いて税金を安く済ませる行為)。 しかし事業所得となれば、もしその副業で赤字が出てしまった場合、、 給与所得や他の事業所得から差引出来税金を安く済ませる事が可能です。 また赤字でなくとも、青色申告特別控除を採用する事で最大65万円もの特別控除を受ける事も可能となりますので、、 なのでそのポイントを故意に狙っているかどうかも重要な要素となるでしょう。 (ちなみに、こういった故意に狙った節税は節税ではなく税回避行為とも言えますので、こういったポイントは、国税庁側もかなり厳し目で考えているようです。 また実際、このポイントが決定打となり認められなかった判決も多いです

 ポイントF リスク負担

投資(資金、設備や人件費等)、生計、、 事業を営むには相当のリスクを背負っているといえるでしょう。 ローリスクで事業が成り立たないとは言いませんが、ローリスク = 気軽 という観点はぬぐえず、少なくともローリスクなものも決定打に欠くでしょう。

 ポイントG そもそも事業と呼べるものなのか

”対価を得て継続的に・・・” これが事業の原点です。 継続性については先ほど触れましたが、対価、、 という部分で、やはり事業とするには ”相当の労力” は費やさなければなりません(営業、管理、企画、作業等)。 また商品の売買や役務の提供など、対価を得るための根源にも十分なモノが必要とお考え下さい。

・・・ と、まあ主要なものを挙げていくとこんな感じかな。

開業届けを出そう

これは事業所得となるための最低条件などではありませんが、これから事業を始めよう(事業にしよう)〜 という方は必ず提出しておきましょう(事業所得や不動産所得、山林所得を得ようとする場合のみ)。 届出漏れとなるよりきっちり提出されている方が なんとなく印象が良くなるかもしれませんし。。 (※ 特に給与所得者の副業パターン)

但し、しつこく念のため言っておきますが、この届出もあくまで ”形” です。 なので開業届出を提出しているからと言って〜 その所得が必ずしも事業所得となるわけでもありません。 届出をしていても、税務署側の見解や判断で雑所得などとされる例はいくらでも御座います。 これらにも予めご注意ください。 【※ → 関連

事業所得として認められない例

ちなみに、これまでの見解や前提を大きく踏まえ、比較的高確率で認められないモノを挙げてみますと、、

これまで幾度となく出てまいりましたが、FXとか、またそれらに類するトレード系収入のほとんどは、過去の判決などを見る限り、、 どんなに時間を費やしていても どんなに高額な利益が上がっていても〜 事業所得としてはほぼ認められないようです。 (収益が偶発・投機的である点、趣味の延長的、社会的に見て事業とは言い難い形態、、 等々、判決結果の事由は様々ですが) 但し、あくまで傾向ですので、個人の事由や環境などによっては、また国税庁側を十分納得させるに十分な根拠があれば〜 そういった場合には分かりませんが。。

以上参考などまでに。

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