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重要性の原則で簡略化

じゅうようせいのげんそく。

知らずに使っている特例

例えば〜 現金にて消耗品を購入した場合、購入時(買入れ時)において即時的に費用化 (必要経費へ算入)。。。

消耗品の購入時(買入時)

借方 貸方 摘要
消耗品費 現金 ---

と、こんな仕訳方法は一般的であり、よくよく目にする事も多いかと思われますが、

ただ実は・・・ この仕訳を厳密に言っちゃうと、、 意外と知らない方も多いようなのですが、

いわゆる「正規な簿記」ではなく、「簡便な簿記特例)」だったりもするんですね〜 ^^

 ※ 特例 = いわゆる現金主義的な考え。

尚、上記仕訳を「正規な簿記」にて仕訳するなら・・・

消耗品の購入時(買入時)

借方 貸方 摘要
貯蔵品 現金 ---

消耗品を使った日。(⇒ 事業の用に供した日

借方 貸方 摘要
消耗品費 貯蔵品 ---

と、こんな感じになろうかと。

ちなみに〜 「じゃあ、何で ”簡便な” の方が一般的なの?」 と言った声などが聞こえて来そうですので、その辺りに触れてみますと、、、 それは、

企業会計原則における「重要性の原則」によって認められているから。

なんですね〜〜〜 ^^

つまりは、その仕訳は「簡便な」とされながらも〜 公的にも正式であり、かつ事業者(経理処理する人)の負担も少ないから。 と。

但し!!!

まあ一応念のため言っておきますが・・・

そもそも その「重要性の原則」に関しましては、本来正式とされている「正規の簿記」のいわゆる ”例外” を認める特別な原則であって、

もしその購入した消耗品などがここで言う「重要性の原則」に当てはまらないであろうと考えられる時には〜 もちろん! 一般的かどうかは全く関係なく、後者の「正規な簿記」による仕訳が ”絶対” となりますので・・・ 一応補足までに。

企業会計原則における「重要性の原則」とは?

重要性の乏しいものについては、厳密、かつ正規な簿記による会計処理でなくとも、簡略化した簡便な方法による簿記でもそれが認められる・・・ といった、

事業者の会計処理上の負担軽減や、

利害関係者の誤判断防止策 等を目的とした、

 ※ 重要度の低い部分まであまりにもごちゃごちゃしてしまった簿記だと、財務上大変重要な情報等が埋もれてしまい、利害関係者の誤判断を招いてしまうなどの〜 会計本来の目的を果たせなくなる可能性もあるため。

企業会計原則の中でも数ある原則事項(特例事項とも)のひとつ。

ちなみに〜 これら「重要性の原則」についてもうちょっと深く掘り下げてみると・・・

 重要性の乏しいもの

先ずはその「特例」とされる「重要性の原則」の適用条件にて、「重要性の乏しいもの」・・・ といった条件。

 ※ この「重要性の原則」は、その費用(備品や消耗品など)が「重要性の乏しいもの」と考えられるモノに限って適用出来る原則事項です。

これは・・・

 ※ なお、ここはちょっと長くなってしまったので〜 こちらにて別途解説させて頂いております ⇒ 「重要性の乏しいものとは?」

 認められる”それ”

そして、「それが認められる」の、それ

いわゆる「重要性の原則」によって、具体的に認められている「簡便な簿記」の対象案件。

 ※ これら「重要性の原則」は、それが重要性の乏しいものであれば〜 何でもかんでも認められる・・・ というわけではなく、特定の種の会計処理にのみ認められている〜 ここもまた条件(対象案件)は限定的となっております。

で、ここは(それとは)・・・

あっ! ただまあ「それ」と一言で言っても、その案件の範囲は意外と広く多いので、

そうですね〜 まあ私の身の回りでもよく活用している「それ」を紹介してみると。。 (もちろん、これら全て私の個人的な見解によるものですが。。)

【その1】
消耗品とされるモノ、その他消耗品に準ずる器具工具備品や、本来は貯蔵品とされるモノなどを購入した時、それらモノが「重要性の乏しいもの」と判断出来るものであれば、それらのモノは実際に「事業の用に供されて」なくとも、購入時 (買入時)において即時的に費用化 (必要経費へ算入)する事が可能です。

これは、このページの初め頃に出てきた消耗品の仕訳のようなパターンですね ^^

※ つまりは・・・ これら重要性の原則「その1」が適用出来る案件であれば、わざわざ事業の用に供した日を基準とした仕訳でなくとも、買ったその日に その全額を必要経費として費用計上しても問題ないですよ〜 というわけ。(私の見解では、それが前払いであっても、その前払いとして支払った日も全額算入日として認められる・・・ と、そうともとらえております)

※ 尚、消耗品に準ずる器具工具備品(消耗工具器具備品)は、「少額な減価償却資産」として〜 使用した当期において全額を必要経費とする事の出来る「資産」、また貯蔵品も「資産」の事を指しますが、但し! それら資産が「減価償却資産(少額な減価償却資産は除く)」でない事は最低条件かと思われます。(そもそも減価償却資産は、これら特例の対象外・・・ という事とお考え下さい)
【その2】
前払費用未払費用、未収収益、前受収益のうち (これらに限定)、それらモノが 「重要性の乏しいもの」と判断出来るものであれば、それらのモノは経過勘定を用いなくとも〜 会計処理が可能となっております。

これはそうですね〜 よくある事例を出すならば・・・

こちらとか・・・ ⇒ 「短期前払費用の特例」

そしてこちらの・・・ ⇒ 「未払費用の特例」

なんかが該当するかと思われます ^^

※ つまりは・・・ これら重要性の原則「その2」が適用出来る案件であれば、本来なら経過勘定(未払費用とかの勘定項目の事)を用いてその発生した費用や対価、収入・権利・債務・責任? などの流れ(経過)を帳簿へ表さないといけないところ(仕訳を立てなければならないところ)を、この特例を用いることにより・・・ そういった経過の仕訳を立てることなく、いわゆる現金主義的な考えなどでの簿記でも ”OK” となる。 というわけ。 かと。

と、だいたいこんな感じかな。。。

尚、これら重要性の原則の「それ」については、まだまだもう少し沢山(← どっちやねん!) 色々とあるのですが、

引当金とか棚卸し資産とか〜 その他もっともっとかなり細かい深層部分なども。(例えば ⇒ コレ(未払いを立てる時の基準や、未払いを立てない技を参照) とかも)

※ インターネット上で色々と既出している例は5項目くらいかと思われますが、ただそれら例はあくまで「事例のほんのいくつか」であって、実際には・・・ こんな超細かい所までその適用範囲は御座いますので〜 予めお見知りおき頂きたく思っております m(_ _)m

ただ、私に馴染みの深い項目はだいたい上記の2・3点くらいで・・・ 他の項目はあまり接点がなく知識も薄いですので。。

後は割愛。 という事で m(_ _)m

※ まあ あえて強引にまとめてしまうならば、「重要性の乏しいもの」の簿記は、何も「正規の簿記」というガッチリとした形にはまっていなくともイイ! と、こんな感じになろうかと。

補足

なお〜

もちろんこれら「重要性の原則」的仕訳・簿記の考え方でも!

それら前提には・・・ 「⇒ 一貫性」を厳守してはじめて採用出来る仕訳方法だという事も、予めお見知りおき頂きたく思います m(_ _)m


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