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年末調整。過不足分の還付、及び追徴。

年末調整もいよいよ大詰め。

後は過納付、又は不足している所得税を清算しなくてはいけません。

過納付分は各従業員へ還付。

不足分は各従業員から追加徴収する事になります。

※ 青色事業専従者にも対応しております。

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※ なお、7.以前の手続き手順は別途こちらにて。

8. 源泉徴収税額の過不足の清算

前項「7.」の手順で算出した「年調年税額」と、「2.」の手順で集計しておいた源泉徴収の税額を比較して差額を算出します。

年調年税額  >  源泉徴収税額の合計 = 不足追加徴収の対象

年調年税額  <  源泉徴収税額の合計 = 過納付還付の対象

不足: 当年度中に源泉徴収していた税額よりも年調年税額が多い場合には、源泉徴収で納付していた所得税だけでは不足している事になりますので ⇒ 従業員から不足分を追加徴収する事になります。

過納付: また当年度中に源泉徴収していた税額よりも年調年税額が少ない場合には、源泉徴収で納付していた所得税は納め過ぎになっていますので ⇒ 過納付分はその従業員へ還付する事になります。

税額の過不足は、「所得税源泉徴収簿」の「差引超過額又は不足額」へ記入。

※ 税額が超過か不足か分かるように、超過額・不足額のどちらかを○印する事。

そして、超過分の清算方法(還付する金額)、又は不足分の清算方法(徴収する金額)を、

「所得税源泉徴収簿」のそれぞれの欄に記入します。

ちなみに・・・過不足の清算方法には、

当年度の最後に支払う給与の源泉徴収は行わずに清算する方法と、当年度の最後に支払う給与の源泉徴収を行った上で清算する方法の、どちらかを選んで清算します。

※ 12月に支払う給与を源泉徴収するかしないかの違い。
※ 当年度の最後に支払う給与の源泉徴収を行った上で清算する場合には、最後の給与から源泉徴収した税額は未だ納付していませんので、「所得税源泉徴収簿」の「本年最後の給与から徴収する税額に充当する金額」欄に12月分の源泉徴収税額を記入し、年調年税額から差引するのを忘れずに〜。


「所得税源泉徴収簿」による過不足の清算方法の記入例は・・・「年末調整のしかた」をご参照下さい m(_ _)m (国税庁HP)

おおよそ60〜70ページ目くらいに記入例が掲載されていると思います ^^ (年度によって変動あり)

9. 過不足分の清算(徴収、還付方法)

後は、過不足分を給与等から調整して清算を完了させます。

 過納付になっている場合

ほとんどの方がこちらに該当すると思いますが、

税金の払いすぎになっている金額は、毎月、又は半年毎に、源泉徴収で預かった税額の納付の時に差し引き処理します。

※ 12月分の源泉徴収税額の支払い時、又は、納期の特例の承認を受けている方は7月〜12月分の源泉徴収税額の支払い時に清算します。

例えば・・・

いつも通りの流れの12月分の源泉徴収による納付額が8,000円、年末調整によって5,000円の税金が還付される事となっている場合には、

翌月の10日までに納める源泉徴収税額は、納付予定の8,000円から還付額の5,000円を差し引いて、3,000円を納付する事となります。

そしてこの5,000円の還付額は、該当する従業員へ直接返金します ^o^)ノ


年末調整によって所得税額を清算した源泉徴収税額を支払う場合には、

いつも源泉徴収税額を支払う時に使っている「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」に、年末調整によって過不足額の調整を行う旨の金額を必ず明記し、納付する税額を調整して提出しなければいけません。

ちなみに、12月分の源泉徴収による納付額が8,000円(毎月同額)、年末調整によって10,000円の税金が還付される事となっている場合には、

翌月の10日までに納める源泉徴収税額は、納付予定の8,000円から還付額の10,000円を差し引くと今回の納付では控除しきれない金額2,000円が余ってしまいますので、余った2,000円は、次回に納める源泉徴収税額から差し引く事になります。

※ 今回の源泉徴収税額は「0円」になり、従業員への還付は8,000円。次回の源泉徴収税額は6,000円になり、従業員への還付は2,000円。


尚、還付する税額がかなり多く、年末調整によって還付する事が決まった月の翌月より2ヶ月経過後もなお還付すべき税額が残る状況であれば・・・

※ 還付する事が決まった日の現状での見込み、及び、還付していたが、2ヶ月経過しても過納額が残っている状況、又は、2ヶ月経過前でも「残る」と判断できる状況等。

「源泉所得税の年末調整過納額還付請求書 兼 残存過納額明細書」、「所得税源泉徴収簿の写し」、「過納額の請求及び受領に関する委任状」等を、給与の支払い事業者の所轄の税務署長へ提出する事により、

税務署から税額の還付を受ける事も出来ます。

また、解散等の事由で給与の支払い事業者から外れ、税額を還付する事が出来なくなった場合等も、

上記と同様の手続きで税務署から還付を受ける事が出来ます。

参考: 「源泉所得税の年末調整過納額の還付請求」(国税庁HP)

※ なお、税務署からの税額還付の手続きは、税務署の判断や複写書類が必要なために、最寄の所轄税務署でご相談されて下さい m(_ _)m

 不足している場合

税金が不足している場合には、原則 年末調整を行う月の給与から徴収します。

ちなみに、給与から不足分の税額を徴収すると、その月の手取給与(賞与も含む)が その年度の手取給与の平均月額の70%未満となってしまう場合には、

「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を所轄の税務署長へ提出し承認を受ける事によって、翌年の1月と2月に不足額を繰り延べて徴収する事が出来ます。


尚、この承認を受けようという場合には、年末調整を行う月分の給与の源泉徴収を省略しての年末調整は認められません。(年末調整にあたっての、当年度の最後に支払う給与の源泉徴収の省略が不可

また、年末調整を行う月分の給与の源泉徴収税額分は、翌年へ繰り延べして徴収する事は出来ません。

参考: 「年末調整のしかた」(国税庁HP) 過不足の清算や計算書の記入方法についても色々と解説されています。

10. 源泉徴収票の交付、提出

最後に!

年末調整の内容をもとに「給与所得の源泉徴収票」を作成し、翌年の1月31日(31日が土日祝祭日であれば休み明けの日)までに、全ての従業員(受給者)へ必ず交付しなければいけません。(年末調整を行っていない従業員の分も

参考: 「給与所得の源泉徴収票」(国税庁HP)

尚、年末調整をした受給者で、

年間の給与等の支払い金額が500万円を超える人、

又は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していなくて年末調整を行っていない受給者で、年間の給与等の支払い金額が50万円を超える人については、

「給与所得の源泉徴収票」をもう1枚作成し、翌年の1月31日(31日が土日祝祭日であれば休み明けの日)までに所轄の税務署長へも提出しなければいけません。


年末調整後に作成する法定調書は、従業員や税務署へ交付・提出する「給与所得の源泉徴収票」だけでなく、市区町村へ提出する「給与支払報告書」もある事を忘れないで下さいね〜 ^o^)ノ

※ 市区町村へ提出する「給与支払報告書」は、無条件で全ての従業員(受給者)の分を作成し提出しなければいけません。(なお市区町村へ提出する「給与支払報告書」等については、各自、所轄の市区町村にてご確認下さい m(_ _)m)

以上が、支払い〜源泉徴収、年末調整に至るまでの「従業員給与」に関する解説でした ^^ (青色事業専従者含む)

給与を払う・・・と一言で言っても、けっこう大変なんですね〜 く(^v^;)

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