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2019年1月9日 更新

家族従業員へのお給料。専従者給与

手当と言えば・・・

「残業手当」や「家族手当」、「住宅手当」、事業によっては「工具手当」や「営業手当」等といった各種該当がありますが、

これらの中でもちょっと特殊な位置付けになるモノ、、 今回「通勤手当」について色々と触れておきますね ^^

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一定条件のものは非課税になる特殊な手当

で、これのどの辺が特殊なのかと言いますと・・・

通常、「手当」というものは、労働の対価として支払う賃金を区別するものであって、貰う側で考えれば、手当だろうと基本給だろうと全て「給与所得」なんですね〜 ^^

つまり「給与所得」と言えば、、 「所得税」!

そうですっ! 給与の一部ですから、貰った手当の分だけ所得税が引かれる(源泉徴収)んですね〜 ^^

しかしっ!

「通勤手当」はちょっと違うんです。

なんと! こちらは一定の額までは所得税が非課税になるんです!

貰って嬉しい非課税所得!! (といってもまあ結局通勤費は掛かるわけで。。)

間違って、非課税になるはずの所得税を源泉徴収してしまわないように・・・ ^^

ちなみに〜 経済的かつ合理的な経路を限度額とした通勤手当であれば、青色専従者(青色事業専従者)に支払うものも他の従業員と同様に認められますので、上手く通勤すれば節税に繋がるかもしれませんね〜 ^^)ノ

非課税の範囲

ところで「一定の額までは所得税が非課税になる」・・・という事なんですが、具体的な数値の範囲はどんな具合なんでしょうか・・・

 マイカー通勤

マイカー通勤の場合には、片道の通勤距離によって限度額が変わります。(自転車通勤やバイク通勤などもこれに含まれます

  • ※ 2019年1月現在の情報です。
  • ※ 通勤距離は、直線距離ではなく「実際の経路に沿った距離」です。
  • ※ 実際の現実の実費額に関係なく、上記額が非課税の限度額になります。(例え該当する距離で上記以上に通勤費がかかっていたとしても、非課税枠を超えたものは課税の対象と扱われます)
  • ※ 「非課税の限度額」は1ヶ月当たりの額です。(いわゆる上限値) 尚、この通勤距離別による非課税の限度額を「距離比例額」とも言います。

 
 もし上記表の限度額を超える通勤手当を支給した場合には、その超えた部分については所得税が課税されますので、源泉徴収漏れのないように〜 ^o^)ノ

  参考: マイカー・自転車通勤者の通勤手当(国税庁HP) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm

  電車やバスでの通勤

電車やバス等の交通機関を利用しての通勤は、マイカー通勤に比べかなり優遇されてはおりますが〜

ただちょっと複雑かと ^-^)ノ

  • ※ 現金ではなく、定期券等で支払ってもOK。
  • ※ 2019年1月現在の情報です。
  • ※ 「非課税の限度額」は1ヶ月当たりの額です。(いわゆる上限値)
  • ※ 実際の現実の実費額とは全く異なる場合もあるでしょう。

なんだかややこしいかもしれませんが、

具体的に非課税として認められる範囲は・・・

通勤に必要な「運賃」・「時間」・「距離」の事情を考慮した上で、経済的、かつ合理的な方法や経路で通勤した場合の通勤定期券などに相当する額(月額)ならば、、

それが非課税の限度額(月額)となります。

但し、もしそれらの額が月15万円を超えてしまうならば・・・

15万円までは非課税の限度額(月額の上限値)となりますが、15万円を超える部分からは所得税の課税対象となるでしょう。

※ 例えば公共交通機関にての往復の通勤費用を経済的、かつ合理的に考えた場合の費用が20,000円(月額)であるならば、その20,000円が非課税の限度額(月額)となりますが、

 ただもしその経済的、かつ合理的に考えた場合の費用が17万円であるならば、その額がいくら合理的で経済的であっても、非課税の月額上限(限度額)は15万円までとなっておりますので、その超える2万円は所得税の課税対象となるでしょう。

という事です ^^

尚、「経済的、かつ合理的」・・・ とかいう部分がちょっと ややこしいですが、

まあ簡単に言えば。。。

もし自腹にて通勤をする事となった場合、時間や距離は最小限なのはもちろんのこと、かつ、さらに「自腹負担のリスク」を少しでも減らせられる手段(公共の交通機関)を用いた場合の〜 これら双方が最も合理的であろうと考えられる地点の費用に相当する額と、

そうお考え頂ければ一番分かりやすいかな。。。
※ いくら安くても、ものすごく時間が掛かってしまえば・・・ まあそれは合理的とは言えませんし、また他に、グリーン車や個室などの特別な付加価値は〜 経済的な面で合理的とは言えませんよね ^^ (この場合、付加価値部分は当然!対象外となります)
つまり〜 その支給する通勤手当で、

社員さんなどのお小遣い?(実質的な給与以外の、臨時収入的なモノ)が増えてしまわないような条件 & 額かと。。(ただ一応私見です)

 
 もし上記で言う限度額を超える通勤手当や、非課税として認められないような部分(特別席などの付加価値部分)まで支給した場合には、それら超えた、又は超える部分等についてはもちろん!所得税が課税されますので、源泉徴収漏れのないように〜 ^o^)ノ

 ※ ちなみに〜 もしそれら通勤手当内に、特別席などの付加価値が入っている場合には、それら付加価値を差し引いた残りの月額で限度額を判断し、もちろん! 差し引いた部分は当然!!! 所得税の課税対象として取り扱って下さい。

  参考: 電車・バス通勤者の通勤手当 (国税庁HP) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2582.htm

  マイカー & 電車やバスでの通勤

通勤手段がマイカー&電車やバス・・・ という人もいますよね〜 (マイカーと交通機関の合わせ技)

このような場合には・・

先ず、マイカー通勤の部分と、電車やバスで通勤する部分は分けて算出し、

1. マイカーで通勤する経路分は、、 片道(マイカーでの通勤経路分)の通勤利用距離に応じた限度額を適用し、(「⇒ マイカー通勤」編の限度額表を参照)

2. 電車やバスで通勤する経路分は、、 「⇒ 電車やバスでの通勤」編と同じ見解にて、通勤定期券などに相当する額を適用した上にて・・・

3. これら双方(1.2.)の額を足して、1ヶ月当たり15万円までが。。 (← 上限値

非課税の限度額となっております。

つまり・・・

例えば片道の通勤距離が50kmの社員さんが、片道40kmの距離まではマイカーを使い、その後残り10kmの距離をバスに乗り換え通勤されている場合では、

先ず、片道40kmのマイカー通勤者の非課税限度額は24,400円。

そして、残る10kmのバス通勤に必要とする費用が、往復合わせて月額15,000円(経済的、かつ合理的な額)であったなら、、

これら合計39,400円までは非課税(← これが1ヶ月間の限度額)で、

それを超える額の通勤手当の支給分は所得税の課税対象となる。。 というわけですね ^^

但し、もしその10kmのバス通勤が、往復合わせて月額130,000円(もちろん経済的、かつ合理的な額)であったなら〜 (← あくまで「例え話です」)

マイカー分とバス分の合計の非課税の上限値は月15万円となっておりますので、

マイカー分の24,400円 + バス分の130,000円 = 154,400円となり、

15万円を超える4,400円については所得税の課税対象となるでしょう。

参考までに。

通勤手当の消費税

「通勤手当」は、消費税の扱いについても ちょっと特殊なんで、消費税課税事業者の方はよく覚えておきましょうね〜 ^-^)ノ

通常、「手当」なるものは給与と見なされ、給与と同じく消費税は「非課税」取引です。

「住宅手当」、「残業手当」、「営業手当」・・・など、支払った手当は非課税取引が基本なんですね〜。

しかし! ことこの「通勤手当」に限っては、、

消費税は課税取引になるんです! ^v^)ノ

※ 通勤って、そもそも法的には「業務の一部」と見なされておりますので、

 通勤手当 = 給与としての意味合いは一切なく、

 あくまで事業主が、普段の業務にて必要とする経費の代替・充当費用。 という見解になるそうです。

しかも・・・ 実際に必要な通勤費用であれば、所得税法上の非課税限度額に関係なく全額が課税取引となるんですね〜。

つまり・・・

例えば、マイカーで片道10kmの通勤をしている従業員に、毎月1万円の「通勤手当」を支給しているとします。(1万円は実際に必要とされる実費分)

この場合、所得税法上の非課税限度額は7,100円ですから、7,100円までは従業員の所得税が非課税となり、残りの2,900円に対して所得税が課税される事になるので、

他の支払給与に2,900円を上乗せして源泉徴収します。

そして消費税法上の課税対象は、実際に必要な交通費用であれば、「通勤手当」の支給額に関係なく課税取引となりますので、、

この1万円は全額課税取引! という事で経理処理(記帳)する事になります。

「課税」と言ったり「非課税」と言ったり何だか色々とややこしいのですが、

「消費税法」と「所得税法」は全く別物の法律ですので、混乱しないようにしっかりと区別して考えるようにしましょうね〜 ^-^)ノ

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