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LAST UPDATE: 2018/12

繰延資産の償却年数、その他仕訳など

繰延資産に該当する費用が何となく分かったところで、、 お次は肝心の取扱いについて。 繰延資産の償却方法とか仕訳なんかについて。 (繰延資産は文字通り 「資産」です。 当然、資産へ計上しているだけではいつまで経っても必要経費にはなりませんから---  資産計上された支出分を必要経費にするために、繰延資産の償却が必要なわけです ^^ (償却費の額 = 必要経費に算入する額))

償却方法や仕訳例等

前頁で説明しましたが、繰延資産には大きく分けて3種類出てきましたよね〜! 開業費  開発費  その他、支出した費用の効果が今後1年以上に及ぶもの の3種類です ^^ で、これらの全てはもちろん繰越資産に該当するわけなんですが、、

ただ実を言いますとこれら同じ繰越資産でも、それぞれちょっとだけ異なる部分があり、先ずはそこから解説に入っておこうかと。

開業費、 開発費は 商法上の繰延資産
その他、支出した費用の効果が今後1年以上に及ぶものは 税法上の繰延資産

こんな感じです。 えへへへ ←(キモい)

ちなみにこれら大きく2つに区分したのは もちろん2種類の繰延資産ではそれぞれ償却方法が異なり、帳簿上の仕訳も違って来るからでして---

 @商法上の繰延資産

先述の通り 「開業費」、「開発費」が該当し、簡単に言えば会計上のルールに沿った繰延資産です。 帳簿上の 「繰延資産(資産の部)」に計上されるのがひとつの特徴とも言えるでしょう。

償却方法は---

この算式によって、残価が0になるまで 毎年償却して必要経費に算入していきます。 (※ なお当期の償却期間月数は、例えば6月1日に事業を始めて開業費を計上した場合には、6月〜12月の7ヶ月が償却月数となります)

ちなみに償却年数は 開業費5年、開発費5年です。

但し! 開業費、開発費の償却方法は、個人事業(所得税法)では任意償却が認められているため、いつでも自由に償却額を設定して自由に償却しても良い事になっています。 つまり、、 事業開始初年度に開業費の全額を償却して必要経費にしても良いですし、利益が出た年度を狙って、まとめて必要経費にしても良い・・ という事です ^^ (所得税法施行令137@B)

 
 Q. いつでも良い、、 という事は、開業から10年後に全額償却しても大丈夫なの?
 A. 大丈夫どえすよー! https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/08.htm (国税庁HP、償却期間経過後における開業費の任意償却について) こちらも根拠としてまでにご参照下さいませ〜 ^^)/

 なお、これら任意償却も5年以内に、、 とかいう見解もあるようですが、ただ少なくとも所得税法の適用される個人事業においては そういった期間の縛り等まではないようで、これらも一応補足程度までに。

 なお商法上の繰延資産の仕訳について詳しくは、、 「開業費」をご参照下さい m(_ _)m

 A税法上の繰延資産

その他、支出した費用の効果が今後1年以上に及ぶもの」が該当。 簡単に言えば 税法に沿った特別な繰延資産とでも言っておきましょうか。 商法では繰延資産に該当しない支出でも、税法では繰延資産として扱わなければいけない支出も存在します。 と、そんな特別系な繰延資産系を ここで言う 「税法上の繰延資産」系みたいな。

で、償却方法は---

税法上の繰延資産も、基本的には商法上の繰延資産と同じ方法での償却になりますが、ただ唯一、商法上のような任意償却は認められませんので、償却年数にそった上記算式での償却 & 経費計上が原則となります。

償却年数は、賃借物件の一部権利金など特殊な場合は除き 基本的に5年です。 (※ 但しこれら償却年数は、その費用の実態や目的などによって大きく変動するため、またその契約期間などによってはそれら期間に応じて対応する場合もあり、まあここではあくまで主要的な期間例としてまでに。 https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/08/14.htm (← より詳細な年数はこちら国税庁HPにて)) 

 但し、商法上の繰延資産のような任意償却は出来ませんが、その代わり その支出の額が20万円未満であれば、その支出の年度において一括経費となります。(所得税法施行令139-2)(所得税基本通達50-7(国税庁HP)) またその他、国や地方公共団体、商店街などが行う簡易な施設の負担金において一定のものにつきましても、その支出時において全額一括経費となります。(所得税基本通達2-26(国税庁HP))

 ちなみにこれらいずれも選択は任意と認識しておりますが、しかし施行令などを解釈する限りでは強制とも取れるニュアンスがあり(特に20万円未満の基準)、なのでもしこれらに当てはまるものでもあえて償却会計しようとお考えの場合には、、 出来るだけ所轄の税務署窓口などでのご相談を願います。

 
 Q. この20万円未満の判定は消費税込み? 消費税別?
 A. 税込経理なら税込。 税抜経理なら税別でお考え下さい。 まあこの辺りは減価償却資産などと同じ見解とお考え下さい。

 
 Q. この20万円未満という範囲は、どこまで含む金額?
 A. 基本的単位はその取引き1つという範囲(一個一組一契約。一計画等)。 例えば--- 賃貸契約ならその一契約時にまつわる費用全てが対象。 分割払いなら、支払い回数に関係なくそのものの総額が対象となるとお考え下さい(なお分割にて利子利息(割賦手数料)が付く場合には、その部分についてまでは明確な根拠はないようですが、まあ利子利息は早期繰上返済などで目減りするという特性がありますし、また支払いの都度付いてくるものなので、それとそもそも利子の役務はまた別の焦点(借りるという焦点)ですから、少なくともその20万円という判断材料へは含めないのが通常であると、私はそう見解しております)。 (所得税基本通達50-7(国税庁HP))

 なお税法上の繰延資産の仕訳について詳しくは、、 「賃貸契約編」をご参照下さい m(_ _)m

 ちなみに、これら税法上の繰延資産は基本的に会計ルールには存在しない資産です。 よって会計事務的には税法上の繰延資産に当てはまる適応な勘定科目がありませんので、多く一般的には 「長期前払費用」「権利金」等の勘定科目を用いて記帳管理をする事になるでしょう。

以上参考などまでに。

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