前払費用は、次期(翌年度)以降に提供されるサービスの対価を資産計上する為の勘定科目ですが、
ところで、前払い期間が数年(長期)に渡る前払費用も同じ処理でいいのでしょうか・・・。
企業会計原則にはこう書かれています。
・・・という事で、
次期(翌年度)に提供されるサービスの対価は「流動資産」として取扱い、翌々年度以降にサービスが提供される前払費用は、当期では「固定資産」扱いとして資産計上します。
なおこの「固定資産」扱いの前払費用を「長期前払費用」と言い、固定資産の部の「投資その他の資産」に該当し、「流動資産」の前払費用と区別して取扱います。
例えば・・・
保険料が24,000円で、保険期間が24ヶ月間の損害保険を当期の7月において契約を行ったとします。
24ヶ月の保険期間で24,000円の保険料なので、月額の保険料は1,000円。
当期の7月、8月、9月、10月、11月、12月分の6か月分・・・6,000円は当期の必要経費へ、
次期(2年目)において提供されるサービスの対価は12,000円(12か月分)、3年目において提供されるサービスの対価は残り6か月分の6,000円なので、、
図で描いてみると、こんな感じです ^^
これを実際に仕訳してみると・・・
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
損害保険料 6,000 | 現金 24,000 | --- |
前払費用 12,000 | --- | |
長期前払費用 6,000 | --- |
このように。
当期で「前払費用」へ計上したサービスの対価は、次期(翌年度)においては経費となります。
当期で「長期前払費用」へ計上したサービスの対価は、次期(翌年度)においては「前払費用」となりますので、
次期の期首(1月1日)の仕訳で・・・、
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
損害保険料 12,000 | 前払費用 12,000 | --- |
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
前払費用 6,000 | 長期前払費用 6,000 | --- |
前年度に「前払費用」として計上していた費用を必要経費へ、
「長期前払費用」として計上していた費用を「前払費用」へ振り替える処理が必要です。
さらに3年目の仕訳では・・・
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
損害保険料 6,000 | 前払費用 6,000 | --- |
2年目に「長期前払費用」から「前払費用」へ振り替えていた費用も、3年目の期首(1月1日)で経費計上します。