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一括償却資産

いっかつしょうきゃく。

特定の条件を満す減価償却資産であれば、前回お話した「定額法・定率法」以外での償却も可能です。

場合によっては、その選択肢がご自身にとってより有利な方向に働いてくれることも。

3年で均等償却

取得価額が20万円未満の減価償却資産は、

※ 厳密に言えば、取得価額が10万円以上〜 20万円未満の減価償却資産。

法定耐用年数や資産の種類に関係なく〜

3年間で均等償却が出来る「一括償却資産」として処理する事が出来ます。

※ 取得価額が10万円以上〜20万円未満の減価償却資産は、「定額法・定率法の減価償却」か、「一括償却」かを選択出来るということ。(どちらの方法で償却してもOK!)
※ あ!もちろん、10万円未満の場合には「消耗品費」などで一括経費にしましょう!

ちょっと地味かもしれませんが、

また一括とか言いながら3年償却なんで、慣れないうちは勘違いもしそうですが、、

使い勝手によっては随分とメリットが大きいことも。

メリット・その@ 計算がかなり簡単!

減価償却の計算が簡単! か・な・り・簡単なんですよ〜 ^^

3年間の均等償却ですから、取得価額の3分の1を年間の償却費 ×3 にすればOK!

「定額法・定率法」の減価償却では、事業の用に供した日(事業用に使った月数)によって初年度の減価償却費を細かく算出する必要がありましたが、

一括償却資産は事業用に使った月数に関係なく、事業に使用した初年度から3分の1を必要経費にする事が出来るのです。

例えば11月に18万円の新品パソコンを購入し、12月から事業用として使い始めた場合、、

年間の減価償却費は・・・  18万円 ÷ 3 = 6万円

6万円が年間の償却分ですから、初年度6万円、翌年と翌々年も6万円ずつの償却です ^^

いや〜 簡単ですね〜 ^^)/

※ 但し、法人のみは使用月数に応じた按分が必要。

メリット・そのA 年間の減価償却費(経費計上)が多くなることも

年間の必要経費となる償却費用分が多くなる! これも魅力的ですね〜 ^^

例えば、取得価額18万円の新品パソコンを購入した場合には・・・

「減価償却資産」は法定耐用年数の「4年」償却ですから、購入初年度から12ヶ月間フルに使用したとしても(※1)、最高でも年間45,000円しか償却出来ません。(定額法の場合)

(※1) 通常の減価償却資産では、取得初年度は業務使用した月数分しか償却出来ません。

しかし「一括償却資産」は3年間の均等償却!

年間に60,000円も償却出来ます(6万円がその年の経費になる) ^-^)/

しかも取得初年度の使用月数分の按分もありませんから、年度末の12月に取得した場合でも〜 初年度からいきなり6万円も費用になっちゃう太っ腹ぶり  ^。^)ノ

対し12月取得の定額法の場合だと、初年度は4,000円にも満たない計算に。。

メリット・そのB 固定資産税の対象外にも!

これも大きなメリット!

なんと「固定資産税」の対象外となります!

一般的な「減価償却資産」で計上した場合には、所有している「償却資産」に対して固定資産税(毎年1月に申告する地方税)が掛かってきます。

※ 自動車など一部の資産は除く。

しかし「一括償却資産」なら課税の対象外!

これもデカい!

※ なお固定資産税についてはまた後ほど。。

とは言え、やはりデメリットもある

とまあ、これまで良いことばかりの償却のようになりましたが、

もちろん!やはりと言うか・・・

デメリットも多少なりとあったりします く(^。^)

通常、減価償却資産を災害等によって償却途中で処分(廃棄)した場合には・・ 未償却部分を「雑損失」等として必要経費に出来るのですが(償却も終了)、

しかし一括償却資産は、償却途中で処分した場合でも未償却部分の損金(経費)の計上が出来ず、3年間の償却が終わるまで償却も終了させる事が出来ません。(一旦選択すると終了まで強制償却)

ちなみに償却途中で資産を売却しても、3年間の均等償却は厳守!

こんな一面も。

仕訳例

勘定科目は「一括償却資産」を使います。

購入時 (取得日)の仕訳

借方 貸方 摘要
一括償却資産 現金 ---

※ 会計ソフトによっては、デフォルトで科目が存在しないこともありますので、無い場合には個別に新規作成をされてください。

決算で必要経費(減価償却費)へ計上する時には、、

借方 貸方 摘要
減価償却費 一括償却資産 ---

簡単に触れておくと、とまあこんな感じでしょう。

※ なお、より詳しい仕訳解説は別途こちらにて。 ⇒ 減価償却の仕訳

以上、皆様の参考になれば幸いです。


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