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LAST UPDATE: 2015/5

消費税の決算仕訳

課税事業者となれば1年間を通して多くの預かった消費税、そして支払った消費税をまとめるために、年度末には決算処理も必要となるでしょう。 ただこれら決算時には、税込経理と税抜経理とでは仕訳手法などが異なって来るなどの注意点も御座いまして、、 まあそれら辺り予め踏まえた上で以下ご参考までに。。

税込経理

先ずは税込経理。 

ちなみに決算仕訳は2通り御座いまして、
ひとつは、、 決算仕訳をしない(何も記帳しない)。
もうひとつは、、決算仕訳をする。

この2通りのいずれかを採用し決算処理する事となるでしょう。

 
 これらいずれかの選択は、毎年の経営状況によって選択自由、、 等といった意見も時折見られますが、ただ会計原則の 「継続性」に基づき、出来れば毎年同じ処理を採用されておくのが望ましいと言えるでしょう。 (一応この部分につきましては、継続性は問われないとの意見もあるようですが、まあもし年度によって処理を変えたいな、、 と言った場合には、所轄の税務相談窓口などで先ずはご相談を)

なお一応補足までに、決算仕訳をしない方法は原則で、決算仕訳をする方法が特例だそうです。

 仕訳例

もし決算仕訳をするなら、、 (もちろん決算仕訳をしない場合には、決算時には何の仕訳も必要ありません)

@納付すべき消費税額は20万円だった。 /決算仕訳

借方 貸方
租税公課 200,000円 (必要経費になる) 未払消費税 200,000円

A還付されるべき消費税額は20万円だった。 /決算仕訳

借方 貸方
未収金 200,000円 雑収入 200,000円 (収益扱いになる)

 ※ もちろん不課税取引きである点にはご注意を。

未払消費税などこれら値の基準は、当期分の確定される消費税額です(→ 詳細)。 まあなんと言いましょうか、なんだかお給料の前借りみたいな処理ですね ^^; だから特例とも。 (未だ預かっている消費税を納付していないのに、また確定申告も済んでいないのに 決算において既に必要経費になったり収入扱いになったりしてますんで)

 ちなみにこう決算仕訳をした場合には、当期において必要経費、及び当期の収入になりますので、それがそのまま節税対策になったりという事もあるでしょう。 一応これらも参考などまでに。

 注意点

消費税を必要経費と出来るのは、税込経理のみです

税込経理では、そもそも所得税の所得やら決算書などにも消費税分が含まれており(消費税分、売上げなどがかさ増しされた状態)、もちろん所得税なんかもその含まれている額を基準に課税されておりますので、なので余分に支払っている所得税などを振り戻す意で → 支払った消費税は必要経費として処理すべき。 と。 (逆に還付の場合には、相応多く必要経費の方が上回っている計算になりますので、余分に損金となって不足している所得税などを補てんする意で → 還付された消費税は収入として処理すべき〜 と)

 決算仕訳をしなかった場合

実際の納付時、及び還付時に それぞれ必要経費、又は収入扱いとして処理します(→ これについては確定申告編にて)。

 ちなみにこう決算仕訳をしなかった場合には、翌期において必要経費、及び翌期の収入になりますので、こちらも考え様によれば--- それがそのまま節税対策になったりという事もあるでしょう。 一応これらも参考などまでに。

税抜経理

それから税抜経理パターン。

税抜経理を採用していると、、 預かった消費税は「仮受消費税」、支払った消費税は「仮払消費税」で仕訳を行っていますよね。 で、年度末では〜 これらから納付すべき消費税、又は還付されるべき消費税を確保しておく為に、この2つの勘定を相殺する仕訳が必要になり → まあこれがいわゆる決算仕訳に相当するものと思って下さい。

 仕訳例

決算仕訳は 「相殺」が目的なので、1年間の蓄積?結晶?・・・でもある 「仮受消費税」と 「仮払消費税」を逆仕訳する事により相殺します。

@仮受消費税が100万円、仮払消費税が80万円。 差し引き納付すべき消費税は20万円だった。 /決算仕訳

借方 貸方
仮受消費税 1,000,000円 仮払消費税 800,000円
  未払消費税 200,000円

A仮受消費税が80万円、仮払消費税が100万円。 差し引き還付されるべき消費税は20万円だった。 /決算仕訳

借方 貸方
仮受消費税 800,000円 仮払消費税 1,000,000円
未収金 200,000円

 注意点

未払消費税、もしくは未収金に計上する額は ”確定の税額” です(→ 詳細)。 なので、ただ単に仮受消費税と仮払消費税とを相殺しただけではその確定された税額と差異(ズレ、余り)が出てくる事もあるはずで、、 (確定される税額は端数が処理されますが、しかし帳簿上にある消費税の額は1円単位で端数が付いておりますので)

また簡易課税制度を適用されている方の場合には、そもそもこういった志向(預かっている消費税から支払った消費税を差し引く)で税額が確定するわけではありませんので、これら相殺値と 確定の税額とはかなり大きな差が発生してしまうこともあるでしょう。 (簡易課税にて確定する税額はみなし仕入率によるものとなりますので、単純に ”仮受 - 仮払” で出て来る値とは全く異なって来るのが通常かと)

と、そんな時には---

仮受消費税が1,000,005円、仮払消費税が80万円。 納付すべき消費税が20万円だった(帳簿上の未払消費税の額より5円少ない)。 /決算仕訳

借方 貸方
仮受消費税 1,000,005円 仮払消費税 800,000円
  未払消費税 200,000円 (@
  雑収入 5円 (A

 @確定の税額
 A(仮受消費税 - 仮払消費税 VS 確定税額(未払消費税)の差額)

 ※ 納付すべき額の方が大きい場合には雑損失損金扱いにされて下さい。
 ※ もちろん簡易課税制度適用による差額もこのように仕訳されて下さい。
 ※ 還付となる場合も、それら実際の還付額との差額は損得勘定にて仕訳されて下さい。

 
 確定申告は未だであっても、決算時の仕訳では確定税額が必要となり、またその確定税額が基準となります(その課税期間においての税額ですから)。 なのでこういった差額処理は、間違っても決して実際の消費税の支払い段階(確定申告時)にて行わないように十分ご留意願います。 関連根拠: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6513.htm (国税庁HPより)

なお、非課税取引きを含む場合の95%ルール適用パターンにおいては、仮払消費税と実際に控除出来る消費税の額がずれ、、 この場合も結果、帳簿上の相殺値と確定税額(未払消費税)とが異なって来る事もあるでしょう。 ちなみにこの場合においては上記各例とはちょっと異なる見解となってきますので、その辺りにつきましては → 別途こちらにて。

以上、消費税の決算処理などについてでした。


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