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自動車ローン

クルマをキャッシュで買おうと思っても、なかなかそうは行かないことも多いですよね。。

そこで今回は自動車ローンに関する実務あれこれと。

※ なお、私管理人は過去自動車ディーラーへ10年以上勤務していた経歴もあり、クルマに関する知識はそこそこ自信御座います。少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。。

自動車ローンと勘定科目

仕訳をするにあたって、「月々の返済」や「金利手数料」あたりが少々面倒そうですが、

「利子割引料」の勘定科目を使いこなす事により、思ったよりも簡単に仕訳は出来ちゃうかと。。

 未払金(他流動負債)

自動車販売店やディーラーが取扱う信販会社系の分割払いで使用します。

 関連: 未払金(勘定科目辞書)

 借入金(他流動負債)

銀行などから、購入資金として現金を融資してもらう方法で使用します。

 関連: 借入金(勘定科目辞書)

 支払手数料(経費)

銀行借入時の「保証料」など。

 関連: 支払手数料(勘定科目辞書)

 利子割引料(経費)

支払金利手数料など。

 関連: 利子割引料(勘定科目辞書)

予備知識

一般的には自動車購入時の分割払いを「自動車ローン」と言いますが、

正確には、、

カーディーラーや中古車販売店で取扱っている信販会社系の分割払いを「クレジット」、(オリコやジャックス、アプラス、トヨタファイナンス等)

銀行など、その他資金融資等にての借入をした場合には「ローン」と言います。

ちなみにクレジットは「未払金」、ローンは「借入金」勘定にて仕訳を行います。

 関連: ローンとクレジット(より詳しく解説)

なお、未払金や借入金には「長期未払金」や「短期借入金」などといった細分化された勘定科目がありますが、

借入が頻繁ではない個人事業の場合には特に深く考えず「未払金」・「借入金」で問題はないでしょう。また実際これまで私もこれでやって来ておりますが、何かツッコミが入ったことも一切御座いません。

※ どうしても長期と短期を使い分けしたい場合には、返済期間が1年を超えるかどうかで判断してください。


Q. 月々のローンは必要経費になりますか?

A. ローンは資産の取得方法なので、月々支払っているローン返済額が丸々毎月必要経費になるわけではありません。ローンで必要経費になるのは、月々の支払いに含まれる「利息(金利手数料)部分」のみです。

ちなみに・・・ ローンで購入した資産部分は、ローンの支払状況に関係なく減価償却を行いますので、そちらは耐用年数に応じた決算月に「減価償却費」として必要経費になります。

ローンでクルマを購入。仕訳は?

例) 家事按分50%の中古車を購入。支払いは自動車販売店のクレジットを利用し、毎月の引き落としは事業用口座から。(事業資金から頭金50万円も出費)

※ 金額は、こちらで適当に当てはめています。

※ 仕訳の勘定科目については「自動車の購入」編をご参照下さい。

※ ここでは簡易的な仕訳の基礎を説明したいので、納車当日にローン契約から現金の支払いまで全て同時に済ませたと仮定しての仕訳処理をしております。

@ 購入時の仕訳

借方 貸方 摘要
車両運搬具 1,050,000 未払金 1,000,000 ---
損害保険料 69,750 現金 500,000 -(省略)-
支払手数料 25,000   -(省略)-
租税公課 125,010   -(省略)-
預託金 10,000   リサイクル預託金
事業主貸 106,760   -(省略)-

※ 納車日が基準。

※ 事業主貸の106,760円は、必要経費に算入する「損害保険料」「支払手数料」「租税公課」の家事使用分(按分)。

なお銀行借入の場合には、未払金ではなく「借入金」になります。

印紙代は「租税公課」、

事務手数料は「支払手数料」で良いと思います。

「保証料」は、金利手数料に加算されるタイプなら「利子割引料」、まとめて前払いするタイプなら一旦「長期前払費用」として資産計上し、借入契約期間に応じて「支払手数料」として経費計上していきましょう。

 この辺り詳しくは・・・ 「銀行借入ローンについて

それとクレジットの支払金利手数料は、購入時の仕訳では一切費用計上致しません。(上記表の未払金と現金には金利手数料は一切含めません)

毎月の引落し日に、「利子割引料」として金利分の月額を必要経費に計上していきます。

A 毎月のクレジット支払時の仕訳。(月々の返済)

借方 貸方 摘要
未払金 14,500 普通預金 15,000 ---
利子割引料 250   ---
事業主貸 250   ---

※ 事業主貸は、家事按分50%による家事使用分です。

※ 月々の支払い額に、500円が金利手数料として含まれている場合。

B 決算月(12月31日)の減価償却時

借方 貸方 摘要
減価償却費 175,000 車両運搬具 350,000 ---
事業主貸 175,000   ---

※ 中古車に関する減価償却や資産の耐用年数などは、「中古品の減価償却」(別窓)をご参照下さい〜  \(^v^)/

ちなみに、自動車ローンの仕訳方法はひとつではありません。

上記例の他にも、金利手数料の総額を「長期前払費用」として購入時に資産計上し、月々の支払時に利子割引料として費用計上していく方法などもありますし、

金利手数料の月額配分が不明の場合には、金利手数料を全て含めた支払総額を減価償却資産に計上し、車両の減価償却と一緒に経費計上していく仕訳方法などもあります。(全額含めた金利手数料の分だけ減価償却資産の価額が大きくなりますが・・・)

参考までに ^^

尚、私の場合は〜 あまり金利手数料の額を「前払費用」などとして仕訳をしません。 何故なら〜

その金利手数料はクルマの販売元へ直接流れる事はありませんし、また一括決済などによってその額は変動し、契約時においてそれら額(金利)が絶対的に確定しているわけでもありませんので。。

その他、自動車購入時に関する仕訳例は・・・ ⇒ 応用編 にて。

番外編 /ローン・クレジットが残っている車を事業用へ転用した場合

例) 今まで個人用で使ってきた車を、ローン(クレジット)が残っている状態で事業用へ転用した場合の凡例。

・家事按分は50%
・期首の1月から事業用として利用開始
・月々の支払額は21,000円(内、金利手数料1,000円)

・個人資産を、事業用へ転用した時の未償却残高(転用時の帳簿価額)が50万円

・転用時のクレジットの残り元金が20万円(金利手数料含めず)

・転用後の減価償却は定額法で2年償却。(⇒ 固定資産、事業転用時の未償却残高の算出方法

転用時の仕訳(資産の計上)

借方 貸方 摘要
車両運搬具 500,000 未払金 200,000 ---
  事業主借 300,000 ---

車両運搬具の額は、転用時の減価償却資産の帳簿価額(未償却残高)を計上します。

※ クレジットの残債額(未払額)ではありません。 つまり・・・ 金利手数料などを含まない資産本来の未償却残高の額が対象。

「未払金」を立てずに、全額を「事業主借」にしてしまってもOKですが、出来れば「未払金」を立てたほうが。。

※ 未払金が無いのに、金利手数料だけ経費計上というのも変かと・・・

尚、借入金に関しても同じ考えでよろしいかと・・と、思われますが、【⇒ 未払金と借入金の違い、その他重要な知識等についても

ただ銀行借入などに関しましては、他の保証料などが絡んでくる場合もあり、

保証料も、事業従事分、かつ家事按分などによって、役務の提供が未だと考えられる部分を適所必要経費へと算入する事は可能でしょうが、ただ契約時などの印紙代などは資産計上はもちろんの事、必要経費等への参入は出来ません。

ちなみに〜 先者の保証料に関しましては、こちらは、他の事業転用時の自動車保険などと同じような見解やグレーゾーン、その他注意すべき点や諸々など。。。 が、御座いますので、予めご留意の上にてこれらご参考下さいませ。

また借入金勘定を立てる以上は、

事業運営上での「借入金」が増える事となってしまいますので〜 【⇒ 借入金が増えると・・・ 考えられる可能性

ここは借入金勘定は立てず、事業主借勘定を立て〜 金利手数料などは・・・ 必要に応じ、要所部分々経費化するのが良いかもしれませんね ^^

※ その方が、仕訳等も簡素化出来ようかと。。

但し、これら未払金や借入金を立てたり(立てなくとも)、金利手数料などを経費計上するには・・・

それら金銭の流れが把握できる証票書類などは(引き落とし口座の通帳とか、クレジットの支払い明細書とか)、他の帳簿などと一緒に「保管などの義務」が発生しますので〜

予めご留意願います。

転用時の仕訳(資産の計上) /未払金などを立てないバージョン

借方 貸方 摘要
車両運搬具 500,000 事業主借 500,000 ---

もし、転用した車の未償却残高よりも未払金の額が多い場合には、(車両運搬具 < 未払金)

借方を「事業主貸」で処理すればOKでしょう〜。

毎月のクレジット支払時の仕訳(返済時)

借方 貸方 摘要
未払金 20,000 事業主借 20,500 ---
利子割引料 500   ---

個人口座を使っての引き落としなので「事業主借」。

引き落とし時に「普通預金」勘定を使用する事は可能ですが、個人用の通帳を預金額と共に事業用に追加する必要があります。

金利手数料は経費になるので、家事按分50%で500円を経費計上。

月々の支払いは21,000円だが、事業主勘定なので、事業主が負担するべき500円の金利手数料を差し引いて「事業主借20,500円」。(21,000円で仕訳をしてしまうと、同時に「事業主貸」も発生してしまい、事業主から借りて直ぐに返す? みたいな変な仕訳になってしまうので)

毎月のクレジット支払時の仕訳(返済時) /未払金などを立てなかったバージョン

借方 貸方 摘要
利子割引料 500 事業主借 500 ---

もし転用時に「未払金」を立てなかった場合には、

「事業主借」と「利子割引料」の仕訳で、金利手数料500円のみの記帳となります。

決算月(12月31日)の減価償却時

借方 貸方 摘要
減価償却費 125,000 車両運搬具 250,000 ---
事業主貸 125,000    

後は、通常の減価償却と同じく帳簿価額が1円になるまで償却します。

 
 個人用の通帳から引き落とししている場合には、毎月の支払明細と支払状況が分かる「証拠」が必要になります。融資先等から送付される支払明細書と、毎月引き落とされている個人用通帳は必ず保管しておくようにしましょう。

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